※この記事は「大学野球総合版〜2024年春季リーグver〜」に掲載された記事を加筆したものです。
選手、保護者、そして野球の未来へ 上野颯夏マネージャー(4年・山梨学院)
日本体育大学で特徴的な取り組みとして、「Monday Night Game」がある。昨シーズンから始まった取り組みで、その名の通り月曜の夜、日体大が青葉台健志のグラウンドに高校野球部を招き、1、2年生のBチームの選手がメインで出場する主催試合を行うというものだ。古城隆利監督の「プロ野球の試合がない日に高校生との交流試合を行うことで普段はプロ野球を観るという人に月曜日も野球に試合を楽しんでもらい、ひいては野球人口を増やすことに貢献したい」という想いから始まって昨年は5試合が実施され、その全試合を日体大野球部のYouTubeチャンネルでライブ配信した。各種SNSやYouTubeでの試合配信など、オンラインコンテンツを通しての活動の発信に力を入れる日体大ならではの取り組みと言えるだろう。
YouTube配信に携わるのはほとんどが学生スタッフなのだという。リサーチ班の学生スタッフ大塚輝さん(21年度卒、向上高校)を中心に立ち上がったYouTube配信班が膨大な資金をかけて機材を集め、メディア班の古城和馬さん(23年度卒、七里ガ浜高校)とともに注力して今や関東地区大学野球選手権大会の配信も筑波大学と分担して請け負うほどの設備、技術が整った。このように学生スタッフの役割が大きいことが、新たな試合の企画・運営に効果的に働いたのかもしれない。日体大野球部は「体育会イノベーション」を目標に掲げて体育会特有の人間関係の撤廃に取り組んでいて、上級生が率先してチームや寮の庶務を行い後輩の面倒を見て、下級生には過大な負担をかけず練習に打ち込んだりその姿勢を学んでもらうという「新たな上下関係」の構築を実践している。ノウハウを理解しある程度の余裕を持って部活動に取り組める上級生が、自由に発想して企画を立ち上げられるという日体大野球部の環境。その集大成の一つがこのMonday Night Gameと言えるだろう。
もちろん監督やコーチも「体育会イノベーション」や革新的な取り組みに協力的だ。実際、Monday Night Gameの「プロ野球の試合がない日にも野球ファンに楽しんでほしい」というコンセプトは古城監督の発想であったし、YouTube配信班の機材調達には監督の知人が協力したそうだ。また対戦校の高校には監督や辻孟彦コーチの人脈で依頼をし、昨年度は横浜高校や大阪桐蔭高校など5校を健志台のグラウンドに招いた。配信についても監督が見て、もっと面白くなるようにアドバイスをもらうことがあるという。
日本体育大学で特徴的な取り組みとして、「Monday Night Game」がある。昨シーズンから始まった取り組みで、その名の通り月曜の夜、日体大が青葉台健志のグラウンドに高校野球部を招き、1、2年生のBチームの選手がメインで出場する主催試合を行うというものだ。古城隆利監督の「プロ野球の試合がない日に高校生との交流試合を行うことで普段はプロ野球を観るという人に月曜日も野球に試合を楽しんでもらい、ひいては野球人口を増やすことに貢献したい」という想いから始まって昨年は5試合が実施され、その全試合を日体大野球部のYouTubeチャンネルでライブ配信した。各種SNSやYouTubeでの試合配信など、オンラインコンテンツを通しての活動の発信に力を入れる日体大ならではの取り組みと言えるだろう。
YouTube配信に携わるのはほとんどが学生スタッフなのだという。リサーチ班の学生スタッフ大塚輝さん(21年度卒、向上高校)を中心に立ち上がったYouTube配信班が膨大な資金をかけて機材を集め、メディア班の古城和馬さん(23年度卒、七里ガ浜高校)とともに注力して今や関東地区大学野球選手権大会の配信も筑波大学と分担して請け負うほどの設備、技術が整った。このように学生スタッフの役割が大きいことが、新たな試合の企画・運営に効果的に働いたのかもしれない。日体大野球部は「体育会イノベーション」を目標に掲げて体育会特有の人間関係の撤廃に取り組んでいて、上級生が率先してチームや寮の庶務を行い後輩の面倒を見て、下級生には過大な負担をかけず練習に打ち込んだりその姿勢を学んでもらうという「新たな上下関係」の構築を実践している。ノウハウを理解しある程度の余裕を持って部活動に取り組める上級生が、自由に発想して企画を立ち上げられるという日体大野球部の環境。その集大成の一つがこのMonday Night Gameと言えるだろう。
もちろん監督やコーチも「体育会イノベーション」や革新的な取り組みに協力的だ。実際、Monday Night Gameの「プロ野球の試合がない日にも野球ファンに楽しんでほしい」というコンセプトは古城監督の発想であったし、YouTube配信班の機材調達には監督の知人が協力したそうだ。また対戦校の高校には監督や辻孟彦コーチの人脈で依頼をし、昨年度は横浜高校や大阪桐蔭高校など5校を健志台のグラウンドに招いた。配信についても監督が見て、もっと面白くなるようにアドバイスをもらうことがあるという。
日体大野球部の大きな強み、YouTube配信。Monday Night Gameを配信するメリットは「誰でも気軽に観られること」であり、また「遠方の選手の親が観られること」でもある。
YouTube配信が本格的に始まったのは、コロナウイルスが蔓延しはじめた年、2020年秋のFuture’s Leagueからのことだ。コロナ禍で外出が制限され、選手の家族はせっかく試合に出場しても観戦に来られない。遠方から進学して寮生活を送る選手の家族ならなおさらだ。そこで始められたのがYouTube配信である。「グラウンドには来られないけれど、選手が頑張っている姿を観てほしい」という監督やスタッフの想いから苦労や資金をかけてYouTube配信に力を入れるようになり、今や保護者以外の人にも視聴者が広がった。「YouTubeを通して自分の子どもの試合を見れるっていうのはいい機会なんじゃないかなと」。
では、Monday Night Gameの開催で選手にはどのようなメリットがあったのだろうか。昨年の開催の経験から上野が体感したのは、高校生と対戦する意義と選手の成長だった。
昨年度の相手高校は、日本大学藤沢高校(5月15日)、桐光学園高校(5月22日)、横浜高校(5月29日)、日体大荏原高校(6月19日)、桐蔭学園高校(6月26日)であった。甲子園の常連校が名を連ね、日体大の出場選手の母校であることも多い。若手選手にとっては高校時代の経験は記憶に新しいだろうし、選手が思い入れのある高校と対戦することは大学進学前に思いを馳せ、当時を思い返す機会になる。
そしてなにより、実質的に試合数が多くなるのが選手にとっては大きい。全日本大学野球選手権大会への出場という成績もあって昨年度は練習試合の依頼が多く、試合の数も多かったというが、それでも下の学年の選手が出場できる機会は限られる。部員数が多く大規模な部のなかでBチームの選手にも試合出場の機会を増やすのに、Monday Night Gameの5試合が一役買ったのだ。試合経験の場数を踏むことで、生きた球での練習だけでなく、状況に応じた役割を理解したりその役割を果たさなければならないというプレッシャーに耐えるという「試合でなければ鍛えられない部分」「自分に打ち克つためのメンタル」を鍛えることができる。
また上野は、技術やメンタル以外にも試合だからこそ見えた選手の魅力があったと話す。たとえば田村玲雄捕手(新潟産業大附属高校、新3年)。声が目立つ選手で、試合では持ち前の声でチームを鼓舞するいい選手だ。スタッフやコーチ、監督にとっても、試合での選手の実力や立ち回りを見ることができる機会が増えるのは良いことではないだろうか。
そしてそれは、やはり選手の何にも代えがたいモチベーションになるだろう。指導者の目に触れる機会が増えるということは、アピールの機会が増えるということ。つまり上のチームに上がるチャンスが増えるということである。上のチーム、リーグ戦への出場を目指す選手をやる気にさせるに違いない。選手の向上心を刺激し野球というスポーツの将来にも貢献する、至妙な育成である。
今年度もMonday Night Gameは開催を予定している。プロ野球の試合がない月曜の17時30分、日体大健志台球場が、おもしろい。 (=敬称略)
(写真:日本体育大学野球部)
編集部注
2024年度のMonday Night Gameは6月17日(月)に東海大菅生高校との試合を予定している。
開催場所 日本体育大学健志台キャンパス野球場(17:30〜)