大学野球における若手育成 第22回 日本体育大学・松尾尚哉投手(福岡大大濠・2年)

※この記事は「スイッチヒッター~2025年秋大学社会人野球総合版~」に掲載された記事を修正・再加筆したものです。日本体育大学大学野球部の協力なくして記事の公開には至りませんでした。この場を借りて、改めて御礼を申し上げます。(年齢・学年は当時のものです)

一歩ずつ階段をのぼって

 環境によって人は成長するものである。日本体育大学、投手の注目株、松尾尚哉にとって福岡大大濠高校はそんな場所である。厳しく練習メニューが制限される高校もある中、福岡大大濠ではピッチャーのメニューは決められていなかった。個人に任されていたのだ。自分自身で決めることができるということは自由であるとともに難しいことでもある。松尾自身も初めは先輩についていき、メニューを組み立てていった。「メニューを決められてやらされるよりも先輩に聞いてどういう理由でやっているかを聞いて、メニューの本質を理解してやった方が身につくことを実感した」。そして、ともに戦った先輩や同期である。まずは、2学年先輩にあたる毛利海大(現・明治大学)。自らの軸をはっきりともっている選手であった。方針がはっきりしており、指摘する時にはきちんと物事を言うタイプである。一つのミスに対しても流さずにしっかりと声をあげる。そんな毛利とは練習以外で関わることもあった。もう一人は同期の藤田悠太郎(現・福岡ソフトバンクホークス)。松尾が最も変わっていると評する人物である。練習では見たことのないようなものを行うこともあった。そんな仲間に囲まれて成長をとげてきた。

 大学でも先輩や同期とのつながりはある。福岡大大濠高校の先輩にもあたる、1学年上の馬場拓海。入学する前から連絡を取り、今でもよく関わる先輩でもある。誰に対しても優しいという馬場と食事に行くこともある。もう一人は同じ福岡県にある東福岡高校出身で同期の藤岡慎之祐。自宅が近かったこともあり、入学前にはキャッチボールをすることもあった。そして、日体大でも変わらず、キャッチボールのパートナーとなっている。入学前の準備の成果か、松尾は1年次から多くの試合に出場することとなる。「高校の時よりも良くなっていて、自分でも自信を持てた。良いように捉えていたので、前向きにどんどん投げ込むことができていて、ポジティブにどんどん練習に励んでいけて、結果も良いようになっていた」。大阪桐蔭高校などの強豪校と対戦するマンデーナイトゲームでも登板の機会があった。はじめはBチームの試合が中心であったが、だんだんと立場を確立していった。「怪我もなく順調にできている。リーグ戦で投げさせてもらえるなら投げたい。まだ、信頼してマウンドに上げてもらえられる立場ではない。キャンプやオープン戦で結果を残してマウンドでも大丈夫で送ってももらえるようにしたい」。

 充実した練習環境で球速も上がった。高校時代は最速140キロほどの球速は150キロを伺うほどになった。ウェイトトレーニングにおいては、昨年は下半身中心のメニューであるスクワットなどに取り組み145キロまで球速が上がった。そして、昨年冬から春にかけてはデッドリフトなどで上半身の強化に務め、球速もさらに数キロ上がった。それまではあまり自信がながった走力についてもトレーニングの成果により向上が見られる。課題はジャンプ力だ。課題を克服すれば150キロも見えてくる。「将来的にはリーグ優勝がかかったり、大事な一戦で先発を任せられるようなピッチャーになりたい。秋は投げろと言われたらいつでも投げられるように準備はしておきたい。ストレートの強さを生かして三振を取ったり、バッターを圧倒できるようなピッチャーになっていきたい」。切磋琢磨する仲間と充実した環境で一歩ずつ歩みを進めている。